別れる男に、花の名を一つは教えておきなさい

ここへ来る汽車の窓に、曼珠沙華が一ぱい咲いていたわ。
あら曼珠沙華をごぞんじないの? あすこのあの花よ。
葉が枯れてから、花茎が生えるのよ。
別れる男に、花の名を一つは教えておきなさい。
花は毎年必ず咲きます。

(川端康成 『掌の小説』より「化粧の天使たち」)

川端康成の掌編小説集『掌の小説』に出てくる言葉。
ちなみに掌編小説とは、短編小説よりも、さらに短い小説のこと。
今でいう「ショートショート」みたいな感じかな。

男ってのは、ほんと花に疎い。
普段から観察力のある小説家なら、花にも詳しそうだけれど、あの三島由紀夫も花の名前を覚えきれず 、花を表現するときは植物図鑑を見ながら書いたらしいから、生来男というものは花に反応しないように育っていくんだなぁ、と。

だって、正直、女性のほうが美しいもの。

で、どうして、こういう言葉に僕が惹かれるかって、実体験があるから。

「別れる男に、花の名を一つは教えておきなさい。
花は毎年必ず咲きます。」

って通り、僕には毎年、心の中で咲いてる花がふたつあって、ひとつはかれこれ20年、もうひとつは3年くらい。

僕はあんまり軽いお付き合いはしないほうだけど、例えその日限りで二度と会わなくなる女性でも、「あたし、○○って花が好きなの」って言われたら、一生忘れないだろうな、って思う。

女の人は知らないけど、男には花の名前とともに女性を思い出すことが1年に1度必ずある。

「だって、正直、女性のほうが美しいもの。」って言ったけどさ、男は「花のように美しいあなた」なんて表現はしない。
いつだって、「あなたのように美しい花」になる。

先日もそう、あなたのように美しい月を見た。

 

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